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それからは、視線が合えば助けに行かなくちゃなんない。
何やってんだよ、大の大人が…
そう思ったのは最初だけ
「ありがとう…。」
はにかんで笑った顔は三浦先生の素の笑顔。
自分だけに向けられる優越感を感じた。
自然と大悟から、話しかけたりもするようになって
あんまり構ってなさげな少し癖っ毛の髪がハネてるのも
たまにコンビニで会うと買っているのはやっぱりコーヒー牛乳
その時着ているのが、怪しいパンダの顔のTシャツだったり
見かけと中身のギャップを目にする度
微笑ましいと感じた。
可愛い
ある日そんなフレーズが頭に浮かぶ。
「そりゃないわ。」
思わず首を横に振る。
放課後の学校の玄関口
「何が?」
由良は不思議そうな顔をする
「いや…。」
靴を履き替えて体を起こす。
「なあ…お前、陰でなんて言われてるか知ってる?」
「さあ…」
「三浦の番犬」
「ぷっ…」
大悟は思わず吹いた。
「犬になった覚えはないけど」
「こないだのアイツらじゃね?」
由良は面白そうにニヤつく
「あれ?」
こないだの
いつものように三浦先生を連れだそうとした大悟に、気の強い上級生の女子が食ってかかった。
『いっつも何なわけ?話してんだよ?』
『俺も先生に話があんの』
『谷川、今行く…』
『え~先生、こっちが先じゃん!』
『だって…谷川と話した方が楽しいから。』
『え~っ?酷い!』
多分先生なりに頑張って言ったんだろう。
「あれは、参ったな。」
思い出して苦笑い。
言うに事欠いてそれかよ…
あれから女子の視線がキツくなったのは感じてた。
「別にいいさ。」
「お前らしいっつうかなんつうか」
校門を出たところで、車が一台停まっている
運転席には綺麗なお姉さん。
「忘れてた…」
「え、あ…あれか?」
「ん。じゃまた明日な。」
足早に車に駆け込んで、由良に軽く手を振ると、車は走り出す
「何だかなぁ…」
由良は心配そうに呟いて、ポリポリ頭を掻きながら親友を見送った。
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