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5月、部活には入らずバイトを始めた。
近くの大型スーパーの品だし。
重いペットボトルやカップラーメンを売り場に出す。
土日は朝から夕方までで忙しいけれど、気の使わない仕事。
そこで綺麗な女性と知り合う。
彼女は文具売り場の担当で、大悟がバイト帰りに立ち寄った時、向こうから話しかけてきた。
「バイト終わったの?お疲れさま。」
落ち着いた笑顔は大人で
「あ、はい。…お疲れさまです。」
なんで俺の事知ってるんだ?
思わず顔にだす。
「アハハ…、君、結構ここでは目立つ存在なんだよ?狙ってる子、多いんだから」
知ってか知らずか茶目っ気たっぷりに笑う。
いや、うちの売り場おばさんばっかだし…?
「…私もだよ?」
ああ…、なるほど。
上目使いで言われて、ドキッとして、と同時に
あの時に比べたらそうでもないか…
大悟は綺麗な笑顔を見ながら思った。
「すみませーん」
お客が声をかけてきて我に返る。
「あ、はい!今行きます。」
じゃ、またね。彼女はウィンクして足早に去って行く。
後ろ姿を見送り、売り場を後にする。
あれ
あの時…って?
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