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綺麗なお姉さん、怖いような嬉しいような
ぼんやり、店を出てしばらくして気がつく
「飲み物買うの忘れた…」
さっきまで散々ペットボトルを触って来て、忘れるとは
仕方なく家の近所のコンビニに立ち寄った。
バイト先の店なら100円しねーのに
コンビニでは少し高めなコーヒー牛乳
カフェオレよりもコーヒー牛乳が好き
真っ直ぐ向かうと商品の前には、お客が一人棚を眺めてた。
おや、あの綺麗なお兄ちゃんは…と思っていると最後のコーヒー牛乳に手を伸ばす。
「あっ!」
俺の!コーヒー牛乳が!
「え…?」
振り向いたのは私服姿の三浦先生で
「あ~…ハハ」
大悟は三浦先生が手に持つコーヒー牛乳を悲しげに見つめる。
「…谷川?」
「いえ、あ~家近いんですか…?」
別な話しで誤魔化す。
「うん、すぐそこ。谷川は?」
「俺も近所で…バイトの帰りで…」
三浦先生はカゴの中にコーヒー牛乳を入れる。
大悟の視線はコーヒー牛乳に釘付け
「そうなんだ。偉いね。」
三浦先生は、なんだか分からず落ち着かない。
「いえ、そんな…、んじゃ。」
「ああ、また明日。」
ガッカリして、似てるけど全然違うカフェオレを一つ買って店を出ると
「谷川」
後ろから三浦先生が追いかけてきて
「はいこれ、気が付かなくてゴメン。」
コンビニの袋の中からコーヒー牛乳
「これ、最後の一個だったんだね。谷川にあげる。」
「いや…先生、いいから。」
恥ずかしいっ!!物欲しそうな視線バレバレだったか?
「じゃあ、そっちのカフェオレと交換して?」
強引にシールだけ貼って貰ったカフェオレを取り上げられて、コーヒー牛乳を押し付けられた。
「ありがとう…」
なんか嬉しい、いい人だ。そう思っていると
「いいんだ谷川…、言っとくけど、カフェオレの方が高いから」
「あ、」
三浦先生はいたずらっ子のように大悟を見る。
文句の一つも言おうかと口を開きかけて視線があった。
あの瞳だ…
たまにキラリと妖しく光る。
「どした…?」
「先生、セコい…」
「アハハ…」
そうやり返すのが精一杯だった。
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