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は……?
え、なに……?
……逃げ……って……?
意味のわからないその言葉に、俺は戸惑い、兄貴に視線を送る。
「……まったく、本当に弱ぇな。お前ら、2人は」
お前、ら……?
2人……って?
思考が混乱を極めていく。
なに? なんのこと?
兄貴は、俺と、誰のことを言っている――?
兄貴は俺の戸惑いと混乱に満ちた視線を受け止めると、忌々しげにチッと舌を打って。
「わからないのか? 本当に?」
「わかんないよ……」
俺は兄貴のキツい言い方に、言い様のない不安に襲われる。
なんで……?
なんで、兄貴まで怒ってんの……?
俺、別に、なにも……っ
「お前、逃げてるよ。皐から」
コ ウ か ら ――?
俺は反射的に腕を掴んでいた兄貴の手を振り払うと、悲鳴に近い声をあげる!
「違う! 違う! 逃げてなんか、いない! 俺……っ、俺、は……っ!」
「違う? なにが違うんだ」
「逃げてなんかいないっ! 俺は常に、皐のことを考えてる!」
「はっ! 『常に皐のことを考えてる』ねぇ?」
兄貴は俺の言葉に嘲笑し、素早く立ち上がると、俺の胸ぐらをグイッと掴みあげる!
「ならば、聞いてやろう! 長谷川さんが『大事な話は、皐のことだろう』と言ったとき! お前はなにを思った!」
「――――ッ?」
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