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皆が驚き私に駆け寄ってきた。
どうした!?何があった?どうしまし?おいどうした?
怒鳴り声のように皆の声が耳に響く。
私は精一杯に皆に説明した。
「顔が、顔が、木のかげから私を見ていたんだ。あれは、あれはきっと化け物だ」
私の説明を聞いて皆がポカンとした表情になった。
「顔?誰かいたのか?」
今村さんが私にそうたずねてきた。
「何かがいる、だが誰かじゃない。人間じゃないんだ!化け物なんだよ」
私がそう言うと、高そうなスーツを着た男が言った。
「馬鹿馬鹿しい。誰かの悪戯か見間違いだろ。私が確かめてきてやる。
まったく腰抜けめ」
私に罵声を浴びせた彼が扉の鍵をはずし、扉を開けようとした。
「やめろ!あけちゃダメだ!」
私がそう言うと彼はフンと鼻で笑って扉を開けた。
大きく開かれた扉の向こうは薄暗く気味の悪い光景だった。私が今さっきみた景色だ。
「誰か居るのかー?」
彼はそう言いながら外に出て行った。
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