4/4
63人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
私は彼を引きずり戻そうとしたが、腰が抜けて動けなかった。 「誰か彼をとめてください」 私がそう言うと、今村さんが彼をとめようと扉のほうに走った。 「行ってはならん!」 田嶋さんがそう言って今村さんをとめた。 「何故です?」 今村さんが田嶋さんにそうたずねた。 「もうておくれだからじゃ。彼はもう悪魔の間合いに入ったのじゃ。今いけば貴方まで危なくなる」 老人はそう言って今村さんではなく、外に出た彼でもなく、何かを見つめていた。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!