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私は彼を引きずり戻そうとしたが、腰が抜けて動けなかった。
「誰か彼をとめてください」
私がそう言うと、今村さんが彼をとめようと扉のほうに走った。
「行ってはならん!」
田嶋さんがそう言って今村さんをとめた。
「何故です?」
今村さんが田嶋さんにそうたずねた。
「もうておくれだからじゃ。彼はもう悪魔の間合いに入ったのじゃ。今いけば貴方まで危なくなる」
老人はそう言って今村さんではなく、外に出た彼でもなく、何かを見つめていた。
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