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私はさっそく神父様を探した。この時間に神父様はいつもなら奥の部屋にいるのだが、奥の部屋には居なかった。
私は裏口から教会の外に出てみた。
私は教会の裏で神父様を見付けた。
神父様は小さな木を植えていた。
私は神父様に声をかけた。
「神父様こんにちは、木を植えているのですか?」
「こんにちは堺君。今日は特別な日だからね、毎年この日は木を植えているんだよ」
「特別な日?」
「そう、息子の誕生日なんだ」
「結婚なされていたのですか」
「昔はね。妻は病弱で息子を産んですぐに亡くなってしまってね。息子も5才の時に重い病気にかかってしまって、他界してしまったんだ。もう6年前になる。それいらい息子の誕生日に木をうえる事にしているんだ。
ちょっとしんみりした話しだったね。すまないすまない」
「いえ、お気になさらず。私こそ、辛い過去を思いださせてしまって、すいません」
「もう乗り越えたよ。息子も妻も精一杯生きたのだからね。私も息子と妻に負けないように強く生きなければならないのだよ」
「神父様はいつも心が強いのですね」
「あまり褒めないでくれよ、照れるじゃないか」
そう言って神父様は恥ずかしそうに笑った。
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