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まるで場慣れしているように落ち着いている。
男性は30代なかばに見える。私とそう歳はかわらないだろう。
ジーパンにTシャツ、ジャケットを羽織り髪はタンパツで目つきが少し鋭い。
私がその男性を見ていると、男性も私が見ている気配に気付いたのか、私を見た。私を見たかと思うと、目線を私より上にあげた。どうやら強盗の様子を見ているらしい。
そして男性の顔に力が入るのがわかった。と、次の瞬間だった。男性は一瞬で立ちあがり、強盗の背後に回ると口を塞ぎ拳銃の安全装置をこれまた一瞬でかけ、腕をひねりあげて、膝を後ろから蹴飛ばし強盗を転ばせると、さらに腕をひねりあげて拳銃を奪った。
「そこのお前、俺みたいにこいつの口を塞いで身動きとれないようにしておけ」
男性は私にそう言った。
私も男である。勇気をだして、男性と入れ代わるように強盗の口を塞ぎ腕をひねりあげた。強盗は思ったほど力が強くなく、簡単に腕をひねりあげる事ができた。
男性は私と入れ代わるとすぐに、もう一人の強盗が入って行ったドアの横に行って、拳銃の安全装置をはずした。
そう広くはない教会だ、強盗はすぐに戻ってくる。私は緊張しながら男性とドアを見つめた。
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