記憶

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僕が走っているハズなのに まるで足だけ誰かのもので 僕の心は遥か上にある さっきより速く走っているハズなのに 上手く走れないのは何故だろう 急げば急ぐ程に 過ぎ去る景色が鮮明なスローモーション 上手く地面を掴めない 夢の中で走っている感覚 今走っているのは誰だろう あの泣いている人は誰だろう 僕は彼女を知っているハズなのに あんな涙は初めて見た その泣き顔の先には 僕の懐かしい人がいる 僕の一つ上のお兄ちゃん いつも一緒に走っていた 昔は同じペースで走っていたのに 年を重ねる度に 僕の横からいなくなり 最近ではお兄ちゃんの背中しか思い出せない 隣の笑顔が懐かしい
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