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ある日の通勤電車の車内で
何かブチっと切れる音が頭の中でした。
本当に音がした。
脳の奥深い所で
その音を聞いた。
そのまま会社に行かず、
バックレてやろうかと思った。
その時の俺は自分の中に狂気を感じていた。
具体的に
何がそうさせたのか
わからないから
人は狂気を表に出す。
積もり積もったストレスを耐え兼ねて
壊れそうな自分を守ろうとして
ある暴力的な感情を
肥大化して表現したものが
世に言う「通り魔」だと思う。
人間の精神は
ある一定量の負荷がかかると
簡単に切れてしまうものだ。
根性で支えられる神経なんて
たかがしれている。
人間として「普通でいること」とは
きわめて精緻な
危うい精神のバランスの上で成立していて、
狂気を埋め込んだ精神は
破綻の危機の種を常に自らに内包しているのだ。
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