序章

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いつも通りだった。 いつもの様に、起きて学校に向かい、そこで仲の良い男女数人の友人とバカな話に盛り上がっていた。 すると急に世界が暗転した。 まず気付いたのは、視界が漆黒。 いや、ただ単に俺の視界が無いだけなのかもしれない。 次に、自分の上下感覚はもちろん、すべての感覚が失せている事に気付いた。 夢かと思いたかったが、同時になんだか卓越した考えにも辿り着いた。 もしかしたら、これが現実で、今までの事がすべて夢だったんだろうか。 そんな考えだ。 ふと思い描いたのは、自分の事を何でも吐き出せた両親。 どちらも仕事で忙しいのにも関わらず、俺の近況報告や悩みをしっかりと聞いてくれた。 次に、親友とも言えた2人の男友達。 一人は俺にくびったけなそっちのけがある、幼馴染み。 一人は父の同僚の息子で、一番の親友にして好敵手。 最後に女友達でも特に仲の良かった4人組。 見た目小学生な、蒼髪のオタク少女。 紫髪の、一癖も二癖もある双子姉妹。 桃色髪の眼鏡をつけた、才色兼備な少女。 彼らは夢の中だけの産物だったのだろうか。 それとも、今の俺と同じような境遇なのか。 考えれば考えるほど仮定が飛び出して来る。 そのうち考える事に疲れて、考える事を辞めた。
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