1、プロローグ

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それは、誰に貰ったものなのか全く分からないからだ。 とある災厄に敗れこの世界に飛ばされてきた時に、何故だか絵筆とともに持っていたのがこの神剣。 災厄に敗れた際に見た誰かの影。 それが恐らくはこの神剣を渡した人物なのだろうとレーヴァは考えるが、 意識を失う直前に見たからかは分からないが、男だったか女だったかも覚えていないのだ。 そんな良くわからない剣を、本名を名乗りたくないがために。 名前の由来にしてしまったレーヴァもレーヴァだが、結果的にその選択は正しかった。 元の世界でもあまり良い意味ではなかった自分の名前は、この世界ではもっと良くない意味だったのだ。 信心深いこの世界の者達にとって『差し向けられし者』という意味がある本名を名乗ってしまえば、命はなかったかもしれない。 そういう意味ではこの名前を名乗って得した点はかなり多い。 結果として今や幹部としてはトップクラスの位置にまで、余所者である自分が昇りつめてしまったのだから。
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