2、それが訪れた日

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そんな複雑な事情を抱えるがゆえに、レーヴァは常に退屈なのだ。 何かが起きれば、と思うと同時に退屈なほうが幸せなのだろうとも考えている。 何かが起きたとしても、ナワルピリとレーヴァ双方ともが、まだまだ先のことだと、思っていたわけだが。 どうしてかそういう時に限って、現れるのだ。災害もしくはある種での幸運が。 ――ガシャアアアァン 突然の大きな、ガラスが割れる音。 それは勿論レーヴァたちのいる部屋から聞こえたものである。 常ならば神々が何事かと、駆けつけたり連絡するなりするものだが、今回に限ってそれはないらしい。 「ナワルピリ、下がっていろ!」 咄嗟に机の横に立てかけてあった絵筆を手に取り、すかさず剣へと変化させる。 (短時間ならば、影響は少ない。頼むから早々に立ち去ってくれ……) 割れた窓ガラスを踏み越えて現れたのは、人ではない、だが神聖な雰囲気をまとうでもない、闇の力をまとった人物だった。
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