2、それが訪れた日

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本来耳があるべき部分にそれはなく、代わりにあるのは大きさの違う三本の角。 目も髪も黒いが、半袖のシンプルな服は穢れを感じさせぬ眩い白。だがズボンは何よりも暗く深い闇を感じさせる藍色だ。 敵意はまるで感じない。しかし味方と言うわけでもなさそうだ。 「何者だ、どうやってここに」 「空間の裂け目から、ちょちょいとね」 そう言ってこの不振な人物は、片方の腕を歪な形へと変化させた。 ワイバーンと呼ばれる竜に似た、翼と鋭い爪がある。 大きさ的に空を飛ぶためのものではなく、明らかに攻撃用のものだと分かるそれ。 レーヴァは警戒を強くし、剣を相手へと向けた。 「ここで一番強いって評判なのはアンタだよな? 反乱軍の連中からも目を付けられてたよな、バランスを崩さぬように見張る門番だと」 そんな評判が反乱軍内にあったとは欠片も知らなかったレーヴァは勿論驚いた。 だがそれすらも、相手の作戦なのかと警戒だけは解くことをしなかった。
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