1、プロローグ

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だから反乱軍は、城の入り口付近で小規模なデモを起こす程度に動きをとどめている。 城は無用な犠牲を出さない為に。 反乱軍は多勢に無勢で、僅かな集まりが崩れないように。 お互いがなかなか動くことの出来ない、ある意味で冷戦状態に陥っていた。 そんな世界に、隔離された賢士【けんし】がいた。 城の最上階の小さい部屋に、ナワルピリという神に近いが異なる者を守護している 異世界からやってきた、レーヴァ・テインという者。 肩より少し長い銀の髪に、水色の眼。 両耳のピアスに付いている宝石が怪しい光を放っている。 騎士の正装というよりはそれよりもラフで堅苦しくない、 シャツの上に騎士服を軽く羽織った格好をしている。 服は、水色を中心とした涼しい色合いだ。 これは、この騎士らしくない賢士レーヴァ・テインを中心とした 彼が巻き込まれる様々な出来事を追っていく物語である。 その日もレーヴァは、ナワルピリが上層部から与えられた課題をこなすのを見ていた。 守護するものというのも、案外暇なのである。
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