1、プロローグ

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(それはちょっと、いやかなり不味いのでは) そうも考えるが、ここで余計なことを言って唯一の暇つぶしである稽古が出来なくなってしまうのは、レーヴァにとっては不利益にしかならない。 余計な口出しをせずに、自身の暇つぶしが出来ればそれでいいとレーヴァは考え、机にたてかけてあった長い筆を持ち出す。 魔法使いが持っているような『魔法の箒』を想像してほしい。レーヴァが今持ち出したのは、その箒を絵筆に変えただけの代物である。 何故絵筆なのかと、その理由をナワルピリに問われたこともあったが、レーヴァはそれに答えられなかった。 なぜなら、レーヴァ自身にもその理由が分からないからだ。 自分が生み出されたのは戦いの為、とある『モノ』を守るただそれだけの理由。 その時に自らが使うべき武器として手元にあったのが、何を意図してなのかこの絵筆だったというわけだ。 だから、何故絵筆なのかはレーヴァ自身理解してはいない。だがありとあらゆる物に形を変える絵筆が、自分を生み出した『モノ』に似てるだけ。 風のように一定の形を持たない気まぐれな物。
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