1、プロローグ

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「ところでレーヴァ、貴方はなぜあの神剣を使わないのです?」 あの剣というのは、レーヴァがこっそり隠している害をなす魔の杖『レーヴァテイン』のことである。 だが杖とは言っても、見た目は炎の属性をもつ綺麗な赤刃の剣。その形状ゆえに神もナワルピリも、その杖のことを神剣と呼んでいるのだ。 レーヴァの知識の中ではそれは、害をなす魔の杖と呼ばれるものでしかない。だが、アステカではそれはとても神聖な物なのだそうだ。 炎とはアステカでは儀式の際に神の代理として使用されたりする、とても神聖なもの。 だから炎属性をもつ『レーヴァテイン』は見た目のこともあって神剣と呼ばれることになってしまったのだ。 レーヴァ自身も、神々の命令によりやむを得ずそう呼ぶことにしている。 「汝は……私に自分と同じ名を持つあの剣を使えと言うのか」 「いや、そうじゃないんです。ただ私はあんなに綺麗な神剣をなぜ貴方が使いたがらないのか気になりまして」 レーヴァにとってあの神剣を使わない理由などただ一つ。
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