悲しみの……

2/2
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
とある墓地、漆黒の礼服を纏い、一つの墓標の前で花束を両手に抱えながら、冬の北風に髪をなびかせる20代半ば頃の若い女性の姿があった。 黒というのは不思議なもので、例え縁起のいい服ではないとわかっていても、着る者が着ればセクシーな女性としての魅力を感じさせるものである。 「早いものね……あれから五年か……。」 女性はそう呟くと、屈み込んで墓標に花を添える。 「死んで当然なのよ。貴方の犯した罪はそれほどに大きいもの。私は貴方のした事を絶対に許さない……私の人生を大きく変えた貴方を憎む!だから、今はゆっくり休んでなさい。いつか、私も貴方の所に逝くわ。だって私は貴方の事をこれからもずっと…………。」
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!