はじまり

5/14
前へ
/25ページ
次へ
「…須川雅人と言います。シアトルから来ました。」 「すげー!」 「帰国子女!?」 「英語ペラペラ?」 再び教室が騒ぎ出す。 雅人は、ある決意をした。 隠していてもどうせばれるのなら、最初から伝えておいたほうがいい。 「…これを見てください。」 雅人は呟くと、数秒かけて義手を取り外した。 ざわめきが一瞬で静まり、今度は全員が雷にでも打たれたような表情になった。 「僕は数ヶ月前事故で右腕を失いました。後からわかってわざわざ説明するのも面倒なので見せておきます。皆さんに迷惑はかからないはずなので、わかってもらえればうれしいです。」 そう冷たく言い放つと、雅人は義手を付け直し、着席した。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加