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「小澤さん、さっき僕が自己紹介したとき、名前だけで驚いてたよね。何で?」
「…その、須川君って…サックス奏者の?」
知っていた。
彼女は雅人というサックス奏者を、知っていたのだ。
「知っててくれて嬉しいよ。でも正確には『元』奏者だ。もう、僕が楽器を弾けると思うかい?」
雅人は自嘲気味に笑った。
「ほんとに・・・そうなんだ。私、吹奏楽部でテナーやってて。須川君、結構私たちの間では有名人だったんだよ。7歳のときにジュニアのコンクールで優勝して頭角を現して、9歳で大人も参加するコンクールで最優秀賞。海外の色んなオーケストラに招待されて、アメリカで暮らしてた…。」
「まぁ、大体そんな感じだ。」
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