翼をもがれた天使の嘆き

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全く、何がしたいのかわからない父親だ・・・。 そう心の中で思いながら、雅人はケースと鍵を抱え、新しい家の中へ、そして車の中で父に自室だと説明された、2階のこじんまりとした部屋に入っていく。 部屋の中には彼の愛用の机、フカフカのベッド、楽器に関係した本ばかりが並んでいる本棚が置いてあり、そしてきらびやかな多くのトロフィーと賞状が、ガラスケースの中に納められていた。 机の上には、2枚の写真。 チェコ・フィルハーモニーの指揮者とのツーショットと、母、父、そして背の割りに大きなサックスを抱えた自分の家族写真。 雅人は静かにベッドの上に座り、父親から受け取った黒いケースを開ける。 そして中から出てきた銀色のサックスを取り出し、抱えた。
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