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あるお城。
豪華絢爛を描いたようなお城を、ただ一心不乱に駆ける少女がいる。
「ああ、大変ですわ!早く知らせなければ…!!」
そう言って駆ける少女は、涙目でどこか切羽詰まっている。
お城を一心不乱に駆ける少女は、自分の不幸を嘆きながら今朝の事を思い浮かべていた。
…何故こんなことに。
少女は、ある『姫』の世話役だった。
その為、今日も『姫』を起こす為に部屋に行った。
ノックをして部屋に入る。
コンコン。
「失礼します。姫様、朝でございます…よ…?」
が、そこで見たのは、空になった部屋と窓から伸びるシーツ。
そして、寝ているはずの『姫』の姿は何処にもない。
机の上には紙が置いてあり、ただ一言『帰る』の文字。
その様を呆然と見ていたが、状況が分かると少女は、最早悲鳴のような声で叫んだ。
「ああ!!シンデレラ様がまた逃げたー!!」
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