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そんなことがあり、世話役の少女は走っている。
目指すは大臣のもと。
「王子がシンデレラ様の部屋に着くより先に、大臣に報告しないと!!」
と、そんな思いが叶ったのか、前方を歩いている大臣を見つけた。
「シュ、シュナイン大臣!!待ってください!!」
見つけた瞬間に、大声で呼び止め走っていく。
そのあまりに必死な声に、シュナイン大臣は何事かと立ち止まり振り返る。
「誰だ!?私を呼ぶの…は?」
と、振り返った先には、猛スピードでこちらへ走って来る少女の姿が。
少女の後ろからは、砂煙が上がっている。
「な、何事だ…?」
その必死な様子に、思わずちょっと後ずさる。
少女は、大臣の前まで来るとその場で手を膝に当て、肩で息をしながら言った。
「ぜぇ…はぁ…呼び…止めた…のは…ぜぇ…わ、私で…ございます…」
「だ、大丈夫か?」
最早、息も絶え絶えの少女を心配そうに見て、大臣は誰かと記憶を探る。
「…ああ、お前は確かシンデレラ様の世話役だったか。それで、そんなに急いでどうしたのだ?何があった?」
この少女がこんなに急いで走ってきたのだ。
絶対、何かあったに決まっている。
嫌な予感がしつつ、それでも一応尋ねてみた。
まぁ、すぐに聞いたことを後悔したが。
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