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その間、大臣と世話役の少女は何やらヒソヒソと話していた。
「…問題はシンデレラ様ですな。全くしょうがないお方だ。ああ、今日はアレがあるのに…」
「そうですね。早くお帰りにならないと、夜の準備が…」
「そうか。やはり、今回は夜までに帰って来て頂かないと…」
そんな焦ったような大臣たちの声が聞こえてきた王子は、ルカたちに聞く。
「夜…?今日は、夜に何かあるのですか?」
「え?王子は知らないんですか?夜っていったら…」
「ルカ~、それは言っちゃ駄目でしょ?」
ファイの一言で、ルカはしまった!という顔で押し黙った。
「え…何?夜に何があるんですか?」
黙ったままのルカの代わりに、ファイが苦笑気味に答える。
「何でもないよ~。それにさ、そういう王子は、シンデレラ様に早く帰って来てもらわなくてもいいの~?」
「それは嫌だ!!シンが側にいないなど耐えられない!!」
「…速答、ですね」
ファイの一言で思い出したのか、王子は立ち上がり力強く言った。
「こうしてはいられない!ルカ、ファイ!一刻も早く、シンを迎えに行くぞ!!」
そう宣言すると、そのまま部屋を飛び出していく。
「ああ!王子、待って~!」
「はぁ…。待って下さい、王子!…しかし、王子はシンデレラ様の事となると、性格が変わりますね」
飛び出して行った王子を、ルカとファイはため息混じりに急いで追い掛けて行った。
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