プール 2

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監視員のバイトは、我慢の連続。 なにしろ、夏休みの室内プールは、小学生ばっかり。 プールサイドを走る。 飛び込みをする。 シャワーで水遊びをする。 監視員に水をかけてくる。 「ねえねえ、おじちゃんなんさい?」 まだ大学生だ、俺は! 「水中ドリル回転するけん、見とって!」 なんだそれは! 毎日毎日ガキばっかり。 なかには10年後が楽しみな女の子もいるが……って、俺はロリコンじゃない! 我慢しろ、俺! 金が、金がいるんだ! 「あのう……」 プール全体を抜かりなくチェックしていた俺は、足元の声に視線を落とした。 うお!? まさに奇跡。黄色いビキニのナイスバティ美女が俺を見上げていた。心の中で神に感謝しつつ、真面目な監視員の仮面をかぶりなおした。 「どうかしましたか?」 「いえ、アルバイトの人かな、と思って」 「え、ええ、まあ」 「どうして監視員を?」 家から近かったからです。と本当のことを言うのをためらわせたのは、彼女のかわいすぎる微笑が悪い。そうに決まっている。 「水泳と子供が好きだから、かな。子供が危険な目に遭うの、なるべくなら避けたいじゃないですか」 「そうなんですね!」 彼女の目が輝いた。 「かんしいんしちゃうな!!」 はい? ……もしかしてそれが言いたかった? そのとき、5歳くらいのクソガキが走ってきた。 だから、プールサイド走るな! 「ママー、なにやってんの!」 「ん? もう終わったよ、そろそろ帰ろっか?」 手をつないで去っていく二人。 夏はまだ、始まったばかりだった。
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