第一章

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「ううう……どうしたもんだろう……」  ウォルトは、ぼそりと呟き、そして丁寧に手入れのされた芝生に腰を降ろした。  無造作にポケットの中に手を突っ込み、中に収まっているコンパスを取り出した。  取り出したコンパスはいわゆるマジックアイテムで、目的の場所の方位を指してくれるのだ。  百年前は、とても貴重で、恐ろしく高価だったマジックアイテム。  今ではウォルトのような単たる平凡な学生でさえ、気軽に持ち運べるほど普及している。  この世界は、百年で大変な進歩を見せていた。
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