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(眠れない…)
夜、布団に入ってもあの味を体が求めなかなか寝付けなく俺は思わず溜め息をつく。
実際にある食べ物だったらまだしも天下のディセンダー様と来たもんだ
そんなのに手出したらどうなる事やら…
なんて考えながらも俺は彼奴の部屋に向かい静かにドアを開けた。
「…寝てるな」
気持ちよさそうに寝てるカイに近付きベッドに腰を掛けて柔らかそうな唇を指でなぞる。
擽ったそうに身を捩り唸って暫くしてから浮かぶ笑みに胸がズクリと疼いた。
(ぁぁ…参ったなこりゃ…)
抑えなんかとうの昔に捨てて俺は無防備な唇を一舐めしてから合わせて口の中に舌を忍ばせた。
(甘くて…まるで…?)
ふと、思い当たった味が頭をよぎった。
(この味…やっぱりしってる…?!)
暗くて気付かなかったが部屋を見渡してあの味が何なのか何となく分かった気がした
オレンジ色の壁、オレンジ色のカーテン、オレンジ色のベッド、オレンジ型の枕、オレンジ型のクッション、オレンジ型の机、オレンジの香りの芳香剤、オレンジ味のガム、オレンジのジュース…
「……………………」
「わぁ!凄く美味しいですユーリ!」
食堂で振る舞った新作のケーキにエステルは目を光らせてペロリと平らげた
「このオレンジの酸味と何故か胸がドキドキするような味…たまりませんっ」
甘い物に目がないチャットや甘い物が苦手な男集も美味そうに食べて俺は満足げに笑みを浮かべてると一番食べさせてやりたかったカイがやっと起きてきた。
「あ!新作のケーキ出来たんだ!」
「おう、オレンジムースのケーキだ」
ケーキを渡すとカイは直ぐにケーキに食い付き頬を緩ませた。
「おいしぃ~っ!甘くて…ほわっとする」
「まぁオレンジリキュール入ってるし。酔わねぇから安心しろって」
ペロリと平らげたカイは皿を机に置き、俺の顔を覗き込んできた
「これがユーリが作りたかった味だったの?」
「ああ、子供で大人な味だ」
(なにそれ?)
(また今度教えてやるよ。じっくりな…)
END
→後書き反省心の叫び
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