4人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
あの日…彼はこう言った…
「戦い終わったらまた会いに行くからな!」
そう…彼は、
『会いに行く』
と言ったのだ…
俺は、彼の言葉になんの疑いもなしに、こうかえした
『うん!まってる!!まってるよ!!お菓子いっぱい作ってまってるね!!!』手をふりながら、俺はそう言った。
「ふふっ…懐かしいなぁ…あの時は…幸せだったなぁ…」
「……。そうか…」
「あ!もちろん、今も幸せだよ?すっごく幸せ…だけど…」
俺の隣りにいるこいつ、イタリアは、昔の話しをしていた。
俺は、イタリアが向けて来る、その、どこか悲しげな目線を無視して、イタリアの話しを聞いていた。
「……。」
「どうした?イタリア…」
すると、少し遅れて、
「ううん…なんでも…ないよ…。ドイツ…。」
と…返ってきた。
「……。そうか…」
そうかえすと、イタリアは、でね…?、と、話しを続けた。
「それでね…彼はね…帰って来なかったんだ…」
そう…彼は帰って来なかった…。
俺のところには…帰って来なかった…。
だって…彼は死んじゃったんだもん…
その事実を知ったのは、昔、フランス兄ちゃんに、『神聖ローマは…もういないんだ…お前も、ろくなことされなかっただろ?あいつのことは…もう忘れろ。』
そう言われた…
フランス兄ちゃんは、すぐにその場を離れてしまった。
俺は…その場に泣き崩れた。
「うわぁぁぁぁ!!」
泣いた、泣いた、涙がかれるまで…泣き続けた。
彼は…もういない…
俺の大好きな彼は…
もう…俺の名前を呼んではくれない…
俺の大好きな彼は…
もう………
「し…神聖ローマぁぁぁ!!」
どうして死んじゃったの?
ねぇ…なんで約束守ってくれなかったの?
もう1回…もう1回だけでいいから…俺の名前を呼んでよ…神聖ローマ…もう1回だけ…笑顔を見せてよ…神聖ローマ…
「うわぁぁ!し…神聖ローマぁぁ!」
――――
「これが…俺の過去の話し…」
「そう…か…」
俺はどう声をかけていいか…分からなくなった。
こいつには…こんな過去があったのか…と…
そう思うと、どう話しかけていいか、わからなかった。
「ねぇドイツ…」
「なんだ?」
「俺…やっぱり幸せだよ…」
「…。そうか…それはよかったな…」
最初のコメントを投稿しよう!