旅立ちの時

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キィィーン…… 自家用の飛行機が滑走路まで着いて、もうすぐどこかへ飛んでしまう…… 「間もなく離陸いたします、シートベルトを着用してください。グラスをお預かりします。」 「あぁ、ありがとう。」 「………」 「……まだ納得いかないか?」 「……! 当たり前です……!」 「しかし彼は自ら身を引いた、ならばお前も決心しなければ。」 「私は……納得しません! 今も、これからも……!」 「……そうか、それも仕方ない。」 「……!」 言うことはそれだけなんですか……尊敬できる存在と思っていましたが、訂正します……! キィィーン…… シューン…… ……? エンジン音がやんでいく? 「……? なにかトラブルか?」 父が機内用の電話で話しているCAさんに話しかけた。 「申し訳ありません、滑走路内に一般車が入ったと管制塔から連絡がありまして……」 一般車……? 「……車種は。」 「はい?」 「車種はなんですか!?」 「車種ですか? 少々お待ちください。」 CAさんがまた電話で話し始めた。 「……はい、わかりました。機長が目視で確認しましたが、おそらくオデッセイではないかと。」 「……!」 まさか、洋司さんの……!?  
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