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【遭遇】~3話
──生斗は夢美の家で遊んでいた。といっても、夢美の部屋の窓から外に出て屋根で寝そべる。
ここが生斗にとってのお気に入りの場所だった。鳥の声や風に吹かれる木々の音。柔らかい陽射しに当たりながら寝るのが最高と感じていたからだ。
夢美はそんな生斗の隣りでいつも猫とじゃれあっているのだが…。その日は珍しくいなかった。
『私、ちょっと用事あるから。』と1階の方へ降りて行ってた。
「ちょっと」という割には長かった。かれこれ1時間半は経っている。夕方の6時を過ぎたぐらいで陽も沈み始めていた。
『ん~…腹減ったなぁ。用事って何なんだ?やけに長いけど…。』
『長くてごめんね?寝ないで待っててくれたんだ?』
突然の夢美の声に生斗は飛び起きた。
夢美が窓越しに顔を覗かせている。
『びっくりしたぁ!!いきなり声かけるなよ!』
『いきなりじゃないよ?2、3分前からいたもん。』
『え?本当に?全然気付かなかった…。それじゃ、なんで声かけないんだよ?』
『え…だって生斗の寝てる姿が…。』
『ん?ボソボソ言うなよ!なんだって?』
『…ふふっ。なんでもないよ!そんなことよりこっち来てよ!』
夢美が上機嫌で生斗の袖を引っ張る。
『ちょっ…ついていくから引っ張るなよ。』
『早く!早く!』
生斗は夢に言われるがままされるがままに1階に連れて行かれた。
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