【遭遇】~1話

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【遭遇】~1話

『……ト!キト!起きた方がいいよ!あっ…』 起こしたかいもなく「ゴンッ!!!」垂直に拳が落ちた。 『っ痛ーーー!!誰だよ!?人がせっかく気持ちよく寝てんのにいきなり…』 『誰だだと?社会科全般を教えてる滋賀山だ!!』 『げっ!!』 『俺の授業で寝るなって何回言えばわかるんだ?お前は!!…ったく!…えーっと、この時代には…』 滋賀山は授業を進める。 《くそっ…滋賀山め…》そう思うと生斗は腰を降ろした。 俺の名前は佐井奈 生斗(サイナ キト)。 ごく普通の高校2年だ。趣味は瞑想…ってか寝ること。 自然が大好きで、昨夜も星空を眺めてたため寝るのが遅かった。 苦手な科目は社会科。興味が無いせいか、いつもこの授業は寝てしまう。今日は特に寝不足も手伝って、授業が始まってまだ5分も経ってないのに爆睡していた…。 『せっかく起こしてあげたのに、あんたが起きないから!っていうか、授業はちゃんと聞きなさいよ?』 こいつは志奈時 夢美(シナドキ ムミ)。成績優秀で顔立ちも良く、男子から結構人気がある。 夢美とは家が隣同士で、幼稚園からずっと同じクラス。おまけにクラスで席替えしても半分以上が隣り同士。異常なほどの腐れ縁だ。高校に入ってからは、ゆったり好きな俺をしつけるお姉さんみたいになっている。 『うるせぇなぁ!俺は眠いんだよ!昨夜だって…』 『どうせ空でも眺めてぼけーっとしてたんでしょ?』 『う…。ぼ、ぼけーっとしてたんじゃねぇよ!!俺はあの星空の美しさに…』 ビューン!!コンッ!!…バタッ。 チョークが床に落ちると同時に生斗も倒れた。 『授業中に大声出して何浸ってんだ、お前は!!後で職員室に来いよ!?いいな!?』 クラスの皆が大笑いし、夢美はあきれて溜め息ついてる。 《くそっ!なんで俺ばっか…。》 ふてくされながら、赤くなったおでこを擦ると座り直した。
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