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彼女は不運だった
彼女、と言うのはセリス=アバンダンドという名の少女を指すのだが、彼女はとても好奇心が強かった
更に言えば好奇心に加え、探求心、追究心も他人を軽く上回る
疑問に思う事は調べ、考察し、思慮深く知識を蓄えていく
学者か研究者にでもなれば必ず功績を残したであろう性格の持ち主
だが、彼女は学者にも研究者にもなれなかった
彼女自身はそういった仕事に就きたくなかった訳ではない
機会があれば、むしろ機会が無くとも研究者としての道を作り出し、それを歩みぬいただろう
その道を歩めなかった理由はセリスではなく、彼女の生まれにあった
何故生まれが道を閉ざしてしまったかを知るには、彼女の生きる世界について少し説明を加える必要がある
セリスの生きる世界では、主に三つの巨大な国が世界を取り巻いている
この三ヶ国は【三大貴族】と呼ばれる貴族達がそれぞれ一ヶ国ずつ治めている
つまり三大貴族は実質的に国王の役割を持った存在であり、その他の貴族とは比べ物にならない程の権力を持った家系と言う事になる
そしてセリスが長女として生を受けたアバンダンド家は、三大貴族の一つと称されていた
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