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アバンダンド家は代々長女が当主になるという決まりがある
先述した通り、長女として生まれたセリスはこの条件にぴったりと当てはまってしまった
これが彼女が不運たる理由の一つである
家を継ぐため、彼女は幼い頃から様々な事を教えられた
礼儀、マナーは勿論の事、外交の仕方、有益な人間の判断方法、更には世界中ほぼ全ての言語の習得等々
大概、それらは他人を効率良く利用するために会得しなければならない事だった為、幼かった彼女には苦痛以外の何物でもない
他人からしてみれば三大貴族の長女というステータスはとても妬ましく、羨ましく目に映るだろう
しかし当のセリスからしてみれば、自由に青空の下で走り回る少年少女こそ、妬ましく、羨ましい存在に思えた
貴族という家柄は、捉えようによっては温室にも牢獄にもなりえる物だと彼女は既に理解していた
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