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無論、彼女は家出を試みなかった訳ではない
何度も何度も屋敷を脱出しようとし、何度も何度も執事やメイドに捕まった
回数を重ねる毎に見張りも増え、家出の難易度は上がっていくばかり
身辺警護を任された者の小言は増え、しかしセリスは耳を傾けず
そんな日々を重ね彼女の年齢が二桁に達したその年、逆境をはね除け遂にセリスは屋敷からの脱出に成功する
ようやく自由を手に入れたと思い、感動に浸るセリス=アバンダンド
しかし次の瞬間、またしても彼女は捕まった
いつものメイドや執事ではなく、武器を手にした見馴れぬ男
屈強な体つきをしたその男は、一般人とはかけ離れた雰囲気を放っていた
その後、毎度の如く屋敷へと連れ戻されたのだが、彼女はあの男が何なのか気になってしょうがなかった
聞けば、彼らの名は【警備団】、彼らは人間をこの世界に蔓延する【魔物】達から守ってくれる者達
特に貴族は優先して守り、三大貴族の命令には忠実
三大貴族直属の兵隊と言っても差し支えはない
話には聞いていたが、セリスが実際に見るのは初めてだった
そして彼女は警備団を敵と認識する
セリス=アバンダンドにとっては、魔物から守ってくれる人達だろうが何だろうが、自分の脱出を邪魔する者は敵でしかなかったのだ
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