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口は笑っているが、目は限りなく冷たい
その『冷たい』は氷や吹雪のような冷たさではない
死んだ、生きてはいるが死んだような冷たい瞳
それ故に、彼の『逆らうな』という命令が脳に直接揺さぶりをかける
人の眼に人一倍敏感なセリスがその命令から逃れられる訳も無い
全身が凍る体験など彼女はした事があるはずもない
だが『全身が凍る感覚とはどのようなものか?』と問われたならば
『これがそう』とセリスは確信を持って答える事が出来ただろう
「お、おやすみなさい……」
それ以外の言葉を発する事を眼前の少年は許さない
先程の男達がディッセンから感じた物を【圧倒的な威圧感】というならば
今セリスがラルクから感じた物は【劣等的な支配感】と言うべきだろう
早く、速く、遠くに逃げろと彼女の全身が警告音を発する
この屋敷に泊まった事を後悔しつつも、彼女は視線から逃れるように部屋に入って行った
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