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この病状と、
今回の看護士らの行動との因果関係については不明。
依然快晴は続いていた。
抜けるような青空の下、全ての人々が疲労していた。
20××・8・12
看護士らは警察の説得に対し、
「私達には無事この子たちを見送る義務がある」
「医学はこの子たちを冒涜(ぼうとく)できない」
「誰にも邪魔をさせるわけにはいかない」
などと、意味不明なことを語った。
また、
3人に共通する、
肩胛骨の突出と今回の行動の関連性については、
堅く口を閉ざした。
事件が大きく展開したのは4日目の朝だった。
病院は真夏の光に包まれていた。
20××・8・13
午前6時過ぎ、
看護士らは警察、取材陣が見守る中、
3人の子供達を連れ突然病院の屋上に姿を現した。
子供達の背中からは、
それぞれ白い翼のようなものが生えていた。
看護士5人は子供達を取り囲むようにしゃがみ込むと、
何かを祈るように目を閉じうつむいた。
その後3人の子供達は、
我々の目の前で背中の翼を羽ばたくようにすると、
1人づつ上空へ飛翔し、
やがて空の彼方へとその姿を消した。
子供達のその後の消息は不明。
その後看護士5人は警察へ投降した。
主犯と見られる看護士は、取材陣の質問に対し、
「天使の仕事に携わることが出来て光栄です」
と語った。
警察は今後子供達の捜索をすると共に、
5人の看護士から事情を聴き、
経緯の解明を進める意向を明らかにした。
5人の看護士は自分たちの使命を全うしたという、
安堵感に包まれていた。
子供達が飛翔していった空は、
奇蹟の光に満ちていた。
その空を見上げた看護士たちの心は、
晴れやかに澄み渡っていた。
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