昼休み

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気を取り直して箸…もう手掴みでいいや。 てか、箸は付けてんだ。 とにかく、食べようとした時だった。 「あの…ちょっと良いかな…?」 「?」 今まさに食そうかという、考えうる限りでも屈指の最悪なタイミングに声を掛けるとは… 一体何者だ。 気持ち怒気をはらんだ眼差しを向けると、案の定奴…バレンタインだった。 またお前か。 一体何の恨みがあって私の食欲を阻む。 何の用かは知らんが、普通このタイミングは無いだろう。 声掛ける程の用があるとしても食事が終わるのを待つのが礼儀というものではないか? 「…何?」 その思いをこの一言に込めて、奴に放つ。 が、まるでその思いは通じてはいないようだ。 苛つく私をよそに、何やらはにかんでもじもじしている。 それがまた私を苛つかせるのだが、一向に喋り出そうとはしない。 …駄目だこいつ。 奴を見限り再びロールケーキと相対そうとすると、またしても奴がストップを掛ける。 「アノ! チョット…」 「だから、何なの?」 こうも度々スイーツタイムを邪魔されてはかなわない。 空腹も相まって、やや口調も厳しくなる。 「Oh!I'm sorry…」 とうとう英語になりやがった。お前は一体何なんだ。 もう付き合ってられん。 再び正面を向き直そうとすると今度は言葉を続けてきた。 「アノ…屋上…行キマセンカ?」  
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