昼休み

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「いやよ。」 私は斬って捨てた。 当然だろう。 何故ランチを我慢してまで得体の知れん奴の誘いに乗らねばならない。 何のつもりか知らんし知ろうとも思わないが、怪しいにも程がある。 構わずロールケーキに手を伸ばす。 だが… 「オ願イシマス!オ願イシマス! 後生デスカラ…!」 何と、奴は泣き出してしまった。 一体幾つだお前。 ますます嫌だ。そんなもん。 とは言え、このままだと大声上げて号泣しそうな勢い。 やめてくれ。 私にあらぬ視線が集まってしまうではないか。 一体私が何をしたと言うのだ。 助けを求めようと香を見るが、何かに取り憑かれたかのように一心不乱にお弁当を貪り喰っている。 いつもの事ではあるが、それだけにいつも思う。 結局食べ終わるまで一切反応を示さないが、果たしてわざわざ一緒に食べる意味があるのだろうか。 ともかく、香が食べ終わるのが先かこいつが泣き崩れるのが先か… 残念ながら後者だろう。 くそ、邪魔くさい… 「分かったわよ。 行けば良いんでしょ?」 諦めの心地でロールケーキに蓋をする。 何のヨタ話か知らんが、ここで喚かれて妙な注目を浴びるくらいなら、一対一でさっさと片付けた方が被害は少ないだろう。香が食べ終わる前に瞬殺すれば香に冷やかされる事も無い。 「屋上ね? 早くしてよ。」 「Oh!アリガトゴザマス!アリガトゴザマス!」 喜ぶ奴を尻目に、私は香に気付かれぬようそそくさと教室を後にした。  
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