屋上で

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屋上への扉を開けると、そこは灼熱の地であった。 そりゃそうだ。 朝からでもあれだけ暑いのだ。昼間の凶悪さは言うまでもない。 屋上入り口の日陰に隠れ、捨て置いてきた奴を待つ。 何やら声が聞こえるが、この炎天下でバレーをしている一団がいる。 さて、どこからつっこめば良い。 この暑い時に屋上でやる事ではないだろう。 というか、屋上でバレーって… どちらかと言うと会社のお昼休みの光景ではないか? しかもかなり使い古された古典的なレクリエーションだ。 何てベタな… 未だに世間では行われてい… …ベタ? …よく見ると、うちのクラスの連中ではないか。 何だか妙に納得した。 って、大丈夫か?高校三年生。 そうこうするうちに、ようやく奴が現れた。 「今日ハ、ドモー、アリガトゴ、ザマス?」 息を切らせて更に訳が分からなくなっているが、もういちいちつっこむのも飽きた。 ただ、追い付くのに時間掛かり過ぎだろう。 さあ、用があるならさっさと…と言うより早く、バレンタインは一方的に喋り出した。 さっきの様子が嘘のように喋る喋る。 カタコトな上に早口でいまいち聞き取れない所もあるが、どうやら自身の生い立ちを話しているようだ。  
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