2/4
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
今日も蝉が鳴いている。 朝から晩までやいのやいのとよくもまあ頑張る。 おかげで余計に不快指数も跳ね上がろうというものだが、彼らも懸命に生涯を全うしているだけであって、当然ながら罪は無い。 蝉か… そう言えば、蝉が死ぬ時にはセミファイナルとか言ったりするのだろうか。 でもこう言うと、何だか次がメインイベントみたいだな。 スポットライトが集まるリング上、人類最強の呼び声高い国籍不明の謎のロシア人と、予選からの激闘を勝ち抜いてここまで辿り着いた蝉。 優勝という名の栄光を懸けてぶつかり合う両雄。 互いに死力を尽くし殴り合うその果てに、我々が見たものとは… うーん、熱い。 なかなか熱いよ。 むしろ暑苦しいくらいだね。 でも、180cmくらいの蝉を想像すると…逆に寒気がするかも知れない。 て言うか、多分普通に気持ち悪い。 何だか何を考えているのかよく分からないが、それだけ暑い季節だという事を察して頂けると有り難い。 そんな夏休み前の予告猛暑日。 朝からご機嫌な暑さに茹でられながら登校していた私。 こんなにボーっとしてると何かを落としても気が付かないのはよくある話で… 「あの、携帯落としましたよ?」 不意に声を掛けられて、私はふと我に返った。  
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!