サマー・バレンタイン

そして

あれからどれくらい時が経っただろうか。

私も今や二児の母親として、日夜慌ただしくもそれなりに楽しく暮らしている。

話が飛びすぎ？
さっきの件はどうなった？

いや、そんな事言われても…
大掃除で出てきた高校の卒業アルバム。
それをめくり過去を懐かしんでいただけの事。
掃除の手を止めた事は謝るが、何も人の回顧の都合に難癖を付けられても困る。

まあそれでも一応片を付けろと言うのであれば仕方ない。

どう考えても、人がそれだけで空を飛ぶ事など出来る訳が無い。

飛んだは良いが、案の定奴は私の視界からすぐに消え去った。

その後、下の方で悲鳴が上がったり何やらえらい騒動になっていたのだが、そりゃ上から人が落ちてきたのだから当然と言えば当然か。

私は奴が飛ぶや否や、教室に戻りようやくロールケーキにありついていた。
予想外に時間が掛かったが、幸いにもまだ香はお弁当に夢中だった。
…って、どんだけ食ってんだ。
何でも、お弁当三個食ってたらしいが…
だから、どんだけ食ってんだ。
そのくせ細いときたもんだ。
あ～、やんなっちゃうね。
ほんとにいるんだよこんな人。

え、バレンタインはって？