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「イイノ、イイノ! モウ、ケータイオトス、ダメ。キヲツケルネ?」 「あ…はい! ありがとうございます…」 何だか見透かされた気がして、私は慌てて彼の手から携帯を受け取った。 …って、確かあんた、最初流暢に日本語喋って無かったっけ。 何で急にカタコトになってんだよ… そうして、新たな謎に襲われながら携帯を見つめていると… 「ワタシ、ジカンナイ。 ワタシ、イクネ。」 そう言うと、彼は私の横を通り抜け走り出した。 「あっ…」 私は思わず振り返り、走り去る彼の背中に声を掛ける。 「あの!」 彼はただ右手を上げただけで、やがてその姿は見えなくなってしまった。 微かに「イイノ、イイノ!」と聞こえた気がしたが…私が何を言おうとしたのか本当に分かっているのだろうか。 間違いなく私の携帯ではあるのだが、ストラップの麻雀牌が無くなっているのだ。 まあ、父親からの出張土産をただ惰性で付けていただけだから別に良いと言えば良いのだが… 一応その確認をしたかっただけなんだけどね。 でもなんだろ。 何か見た事ある格好なんだよねぇ… なんだろ。  
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