あいつ

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「あ、麻美子おはよー。」 親友の香だ。 私が教室に入ると、いつも真っ先に声を掛けてくれる。 …いつも? 一応皆勤賞を続ける私にいつもという事は… 何て事。 まさか親友がライバルだったなんて… それに、私より早く来てるって事じゃん。 しかも、香は私と違って勉強も出来る。 この前の中間も、うちのクラス40人中29位だったらしい。 ただ、とにかく明るくて良い子。 誰からも愛されるってのは、まさにこの子のような事を言うんだろうね。 そんな子が私を親友って言ってくれるんだから、私も何となく鼻が高い。 そして他のみんなとも挨拶を交わしながら席へ。 席に座り鞄の中を確認していると、香が話し掛けてきた。 「ねえねえ、あのね? 今日、このクラスに転校生が来るんだって!」 「転校生? 三年のこの時期に?」 「よく分かんないけど、何だかそうらしいよ? 知らんけど。」 たった数ヶ月のクラスメート…か。 てか、高三の夏という人生の中でもかなり大事な時にまぁ…こんなバタバタと。 親の都合なのだろうが、考えたら気の毒な話だ。 …てか、知らんけどって。 ふと気が付くと、あちらこちらその話題で持ち切りだ。 このクラスは進学希望者が少ないのか、誰も勉強の事を口にする者はいない。 まあ、確かにこのタイミングの転校生ってのも興味あるのは分かるけどね。  
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