あいつ

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その後も性別がどうだ、カッコ良かったらどうだ、かわいかったらどうだと、一切の情報が無いのを良い事に、皆好き勝手に話を広げている。 すると、そのうちチャイムが鳴る。 ホームルーム。 順当にいくならば、その謎の転校生が姿を現す確率が最も高い時間。 さすがに気になるのか、皆驚く程すんなりと席へと戻り、その時を待った。 程なく… ガラッ! 「おおっ! どうしたみんな! 既にみんな席に着いているなんて… やれば出来るじゃないか! 先生は嬉しいぞ! しかし…ほんと、一体どうしたんだ!?」 いつも通りのつもりで教室へと入った先生は、その異様な光景に驚愕した。 いやいや、いくら何でも驚き過ぎでしょうよ。 一方、生徒側はというと、早く核心に触れろとばかりにそわそわしている。 「みんな遂にやる気になったのか! ここにきてとうとう高校三年生という自覚が芽生えた事に、先生…万感胸に迫る思いだ!」 いちいち鬱陶しい。 熱血も結構だが、役作り入ってるから苛つく。 粋がるのも私らの前だけ。 以前街で見かけた時なんか、まるで覇気は無かった。 職員室でもヘコヘコしてやがる。 やるならきちんとやり通して欲しいものだ。 何にかぶれたのか一切興味は無いが、一つだけ言っておく。 みんなうんざりしていると。 みんな知らないとでも思っているのか。  
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