出会い

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桜舞う四月。 俺、高倉 恭平(たかくら きょうへい)は長い受験戦争を乗り越え、無事に大学に合格した。 正門から構内へと続く桜並木は満開に花を咲かせ、吹かれる春風に舞う花弁が俺の心まで躍らせた。 「綺麗だなー…」 うっとりと桜の木を見上げ、淡い桃色に瞳を染める。 延々と続く桜並木を歩きながら、ふと恭平の目に一人の人物が留まった。 綺麗に染められた栗茶色のパーマ。 垂れ目がちな大きな目。 華奢な肩に掛かる白いシャツが肌の白さを引き立てていた。 なんだ、あの美人…! 俺は満開の桜よりも、下で佇む儚げな美女に釘付けになった。 _
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