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【やまむぎ保育園】
――カチャカチャカチャ
ハァ……見つけた
私はオモチャで遊ぶ園児に近づいた
「ちょっとマーくん!!!ダメでしょ!!!」
「や~だ!!!これで遊ぶのー!!!」
「これは司くんのオモチャなの!!!司くんが困ってたのよ!!!」
「や~だぁぁぁ~!!!!!!」
ここは、やまむぎ保育園
どこにでもある普通の保育園
私、三枝美夏(29)はこの保育園の先生である
「困ったわ。司くん、マーくんオモチャを返してくれないわ」
私の後ろに隠れている男の子
司くん
そして、このダダをこねる男の子
マーくんこと誠くん
見ての通りオモチャの取り合いをしていた
「…………いいよ」
「ん?何?司くん」
「マーくんに貸してあげる」
「え?いいの?」
コクリと頷き私の足にしがみついた
「そう…偉いわね」
そんな彼を見て、私は頭を撫でてあげた
司くんは頬を赤くして下を向いているみたい
「さ!!マーくん!!!司くんに『ありがとう』って言わなきゃダメよ!!」
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