割と不運な少年

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「またいつものファウストにやられちまった……」  俺の名前は九字谷修司、県下の私学で二番目、そこそこ頭のいい高校の二年生。よく苗字を藤田とか不二家とか間違えられる哀しい星のもとに生まれた男さ。  いつものように高校からの帰り道に寄ったゲーセンでいつもの格闘ゲームをやり、そしていつもの相手にやられた。勝ったり負けたりではあるけどやっぱり向こうのほうが上だ。  そしていつものように自転車の鍵を外し、いつものように本屋にも寄って立ち読みをして帰ろうとした……けれどいつものようにはいかなかった。 「覚悟!」 「へ……?  オイオイ……マジ……か……よ……」  いやーな予感がした次の瞬間、凛とした女の子の声で時代劇の台詞みたいなのが聞こえると同時に脇腹の背中の方からわけわかんない感触がきて……脇腹の腹の方見たら赤くてかてか光るとんがったもんが飛び出てて……  俺の意識はそこでぷっつりと途切れた。
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