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「ありがとね夕希、本当に助かった」
「何言ってるのよ、それよりほら早くしないと電車行っちゃうよ?」
「まずい!それじゃ、私行くから。本当にありがと!」
地下鉄に向かう友人を見送りながら、夕希と呼ばれた女性は小さく溜め息をついた。
「はぁ、秋休みも後四日・・・か。どうしますかねぇ。」
残りの休日をどう過ごそうかと、あれこれ考えながら彼女は学生寮に向かう道をゆっくり歩いていった。
長い銀杏と紅葉の並木道を抜けた頃、前方に彼女の暮す学生寮が見えてきた。
「何時見ても・・・、古ッ臭いなぁ。」
学生寮は、色あせたトタン風の屋根にひび割れの描かれたコンクリート造りの壁と遠目には古いアパートを思わせる造りになっていた。
「何を言いますか、昔から学生寮と言ったらこれに決まっているじゃありませんか。違いますか、夕希さん?」
門の影から現れたのは、割烹着に頭巾、手には竹箒というこれまた古風な格好をした女性だった。
「中身と外見に差がありすぎなんですよ寮長。中に最先端の設備を入れてるんですから外見だって・・・。」
「何か言いました?」
「い、いいえ!何も!それじゃ、私は部屋に!」
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