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あたしは何も知らないかのように自然に下駄箱の方に足を向けた。 …? 藤崎くんがいない。 目の前にはクラスの男子と思われる2人がいたが、よく見るとメロンパン王子には見えない。 いや、一人は藤崎くんなんだろうけどメロンパン王子じゃない。 あれ?どういうことだろう? でも確かにさっき告白されてたのはメロンパン王子だし、今日コンビニにいなかったのと辻褄が合う。 他校…?彼女…?! 「はあぁ~」 「ため息つくと幸せ逃げるぞっ。どーしたの!成実ちゃんに全部話してみー」 「幸せもんがぁーっ」 ぐだぐだ言葉を濁しながら最終的に成実にメロンパン王子のことを話した。 「はぁあ~!?それって恋っていうの、知らない!?」 「知ってるよっ…」 「しかも小銭拾ってもらったときから一目惚れでしょ、ゼッタイ」 「そっ、それはないよ!」 「じゃあメロンパン王子に会うまで好きな人ができなかった原因分かる?」 「さぁ…」 「紗季の頭ん中ではずっとその人がいたからに決まってんでしょ、バカっ」 「バ、バカって~」 バカ、ですけどー…っ だってどうしようもないじゃんっ… 二度と会わないと思ってた。 だけど会うことはなくても忘れられなかった。 藤崎くんがメロンパン王子ならチャンスじゃない!絶対アド聞いて彼女と別れさせてオトしなよ! と成実は言いさっさと教室に戻っていった。 あたしはその日から藤崎くんを観察することにした。
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