狂気の宴

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 鞄を投げ、そのままベッドに身を沈める。 「はあ……」  何だか、今は何も考える気が起きなかった。  小学校の時から悪戯に転校を繰り返して、友達とか、恋人とかそういったモノには全く縁が無かったんだ。  なのに、それなのに。  ――君の事が、大好きです。  あんな事を言われてしまうとは。  たまたま一度転校した町にまた戻ってきただけだ。それも前にいたのは何年も昔の話。 「なのに、あいつは俺の事忘れてなかったんだな」  嬉しくない、なんて言ったら嘘になる。  だけど、あまりにも突然すぎてどんな顔をしたらいいのかわからない。  ずっと一緒に転校を続けた姉以外、女の子と一緒に居るということもそんなに多くないんだ。ましてやすぐにどこかに出て行く身、恋愛なんて一生無縁だって思ってた。  様々な事がグルグルと頭を駆け回り、また沈んでいく。
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